ENGLISH MASTERS CLUB 
 「英語で考える頭」とコーチングで英語を完全マスター                 イングリッシュ・マスターズ倶楽部




















亀より遅い日本語訳

 

「日本語に訳して理解」じゃ遅すぎる


書店で売られている英語教材や参考書の90%以上は日本語訳が英語の文章のすぐそばに書いてあります。しかし、実はこの日本語訳があなたの英語力向上をを大きく妨げている壁となっているのです。究極的に言えば、「英語を日本語に訳して理解する」ということが、英語を自由に扱うことを不可能にしているといっても過言ではないでしょう。


この英語を日本語に訳して理解することは、私たちの中学校からみっちりやってきました。この日本語訳中心の勉強方法も、やはり、本物の英語力をつけることとは正反対のことをしているのです。


単語を日本語に訳すこともスピードを落としますが、英語の文章を日本語に訳すことほど、英語を理解するスピードを落とすことはありません。というのは、単語は、一つ一つなので、その単語の日本語訳が浮かべば、時間はかかりますが、たかが知れています。しかし、文章を日本語に訳して理解するときというのは、英語の文章の流れに逆らって後ろから理解していこうというわけですから、考えてみると当たり前ですが、早いわけがありません。

次の例を見てください。


Ken went to the department store to buy a new coat for his mother last Sunday.


これを日本語に訳してみてください。


「ケンは先週の日曜日に、彼のお母さんのために新しいコートを一着買うた
めにデパートに行きました。」(あえて直訳のようにしています)となります。英語の文章をどのような順番で日本語にしたのか見て見ましょう。


Ken(1) went(15) to(14) the department(12) store(13) to(11) buy(10) a(9) new(7) coat(8) for(6) his(4) mother(5) last(2) Sunday(3).


となります。簡単な一つの文章をこのように解釈していては、ちょっとしたペーパーバックの文章1ページ読み終わるのに、いったい何時間かかるのでしょうか?


とてつもない時間がかかってしまいうことはすぐに分かると思います。またTOEICや日常会話でのリスニングはどうでしょうか?普通のスピードでネイティブスピーカーが話すときは、1分間に120〜140語くらい(読むときの約半分くらいの量)で話しますから、約1分間で話す量はこのくらいの量になります。


A physician at Beijing's Chinese People's Liberation Army General Hospital (No. 301) in a signed statement provided to TIME, says that at one Beijing hospital alone, 60 SARS patients have been admitted of whom seven have died. That indicates the number of patients infected with SARS in Beijing may be significantly higher than those totals made public by China's Ministry of Health. Last Thursday Chinese Minister of Health Zhang Wenkang announced to the press that China's capital had seen just 12 cases of SARS of whom three had died. Today's edition of the official China Daily put the number of SARS infections in Beijing at 19 with four dead. The doctor, Jiang Yanyong, 71, told TIME today he wrote the statement because he feels that "a failure to disclose accurate statistics about the illness will only lead to more deaths."(TIME ASIA, 4/8/2003)


このくらいの内容が1分間の間に音として飛んでくるのです。そうすると、後ろから訳して理解しようとしていては、物理的に間に合うわけが無いのです。もし、私たちに同時通訳の技術があれば別ですが、同時通訳の技術は、英語力のかなりある人が、それこそ血のにじむような特訓をして身につける技術なわけですから、それを素人の私たちがやろうとしてもできるわけが無いのです。


つまり、訳して理解していてはネイティブのように英語を自由に理解することは「一生できない」といわざるを得ないのです。学校英語でやってきた「英文解釈」は単に時間の無駄はなく、私たちを「英語音痴」にしている元凶なのです。


また、訳してしまうことにより、もともと英語が持っている本来の意味を壊してしまうことがあります。根本的に英語と日本語は文化的な背景も、歴史的な背景も全く違うので、それを、パズルのように頭の中で日本語に「解釈」して理解をすると、当然、フィルターを通している分意味が変わってきてしまうのです。


例えば「Stop playing games」という表現を見たときに、日本語にして「ゲームをするのをやめなさい」と訳してしまうと、本来持っている英語の意味を表さなくなってしまいます。「game」の持っている意味の一つに「a trick or secret plan」と意味があり、英語本来の意味では「駆け引きはやめよう」とか、「ずるい」「正直に言って」など、もちろん文脈によっても意味は変わりますが、日本語に訳して「ゲームをするのをやめなさい」といってしまっては、原文の意味が壊れてしまうのです。


ベストセラーになった「ネイティブスピーカーの〜」シリーズの著者であり、東洋女子短期大学教授の大西泰斗氏は、その著書「英文法をこわす」でこういっています。



「従来の学校文法では、英語表現の「意味」の記述はほぼ全て、日本語を解して行われている。それが致命的なのだ。そのためにいくら勉強してもlook, see, watchすら使い分けることのできない学習者が量産されている。」「こららすべてがそれぞれほかにはない独自の存在意義を持っていること、それを示すことができるのは、「訳語」などといった単純なものではない。」「前置詞もまた、日本語訳を通じての学習が絶望的な領域の一つである。(中略)前置詞の持つ広範なニュアンスは日本語訳や用法などの機械的学習ではとてもつかみ取ることができない。この感覚に満ちた世界を取り込むために、訳語は不十分なばかりか、有害ですらある。」



「英文法を壊す」大西泰斗著、NHKブックス、920円

Amazon.comのプレビューはこちら < http://tinyurl.com/bhke



つまり、従来の学校英語で学ぶ「文法知識からの日本語訳」は、本来英語の持っている意味を壊し、捻じ曲げてしまう恐れがあるのです。


もちろん、英語が全くできない人に、他の国の言葉で書かれたもの、話されたことを伝えるために、翻訳・通訳という、日本語に変換する作業は必要なのですが、それはあくまでも翻訳者・通訳者が、それなりのレベルで原文の英語を理解し、日本語で正確に表現することであって、単純な単語の置き換えではないのです。


最後に、戦後の英語の達人である、故松本亨博士は日本語訳に対する引用で締めくくりたいと思います。



「時には訳す必要もあるでしょう。外国語の契約書などは、特に正確に訳すべきです。しかし、前にも述べたとおり、訳すことは一つの特技で、全ての英語学生がそんな無駄なことをすべきではないというのが私の主張です。後で分かりますが、第一に、英語を日本語に訳す必要を否定していいと思っています。」



もし、あなたがご自身の英語学習において「英文を後ろから日本語に訳して理解する」ということをしているのであれば、1日も早くやめてください。日本語訳が本物の英語力をつけるのを妨げています。


日本語に訳さずに英語を理解する方法を知りたい方は → こちらをクリック(現在作成中です)