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 英語習得の大前提:「英語で考える頭(Think In English)」のススメ
 

コラム1では、最終的にネイティブとスムーズにコミュニケーションができるようになるためには、「映画の英語」を問題なく理解するリスニング力が必要だということをお話しました。


それを読んで、かなりの方がへこんでしまったのではないでしょうか?


「映画の英語を問題なく理解するリスニング力」というものをかなり高い壁に感じていることでしょう。ですが安心してください。私自身、18年前、1年間も英語を学習したにもかかわらず、ラジオのニュース、映画の英語が5%くらいしか理解できなかった経験を持っています。あの当時を思い出すと、本当に悲惨でした。(聞ける英語が「Yes」「But」「I」「However」くらいだったんですから)


しかし、現在、「映画の英語」は、問題なく理解できます。そのためには特別な能力など必要ありません。誰にでも「映画の英語」を普通に聞くことができるようになります。ご安心ください。


ですが、それができるようになるためには、絶対にしなくてはいけない大前提があります。それをしなければ、いくら努力しても映画の英語を問題なく理解できるようにはなりません。


では、そのための大前提とは一体何なのでしょうか?それは、


【英語で考える頭を作ること】



分かりやすいように言い換えると、こういうことです。



【英語を日本語に訳さずに英語のまま理解できる頭を作ること】



書店で売られている90%以上の英語の参考書には日本語が英語の文章のすぐそばに書いてありますが、実はこの日本語訳があなたの英語習得を大きく妨げている壁となっているのです。


この英語を日本語に訳して理解することは、私たちの中学校からみっちりやってきました。この日本語訳中心の勉強方法は、本物の英語力をつけることとは正反対のことなのです。


英語の文章を日本語に訳すことほど英語を理解するスピードを落とすことはありません。というのは、英語の文章を日本語に訳して理解しようとした場合、英語の文章の流れに逆らって後ろから理解していこうというわけですから、とても時間がかかってしまうのです。落ち着いて考えてみると当たり前ですが、日本語訳をして英語の文章を理解して早いわけがありません。


次の例文を読んで、それを日本語訳にしてみてください。。




きっと、以下のような日本語になったのではないでしょうか。




それでは、この英文がどのような順番で日本語になったのか見て見ましょう。




一つの文章を理解するために、いちいちこのように解釈していては、ナチュラルスピードで飛んできた音声を理解するのは到底不可能ですし、英文を読むときもペーパーバック数ページを読み終えるのに、何時間もかかってしまうことでしょう。


日常会話において、普通のスピードでネイティブスピーカーが話すときは、1分間に150〜180語くらい(読むときの約半分くらいの量)で話しますから、約1分間で話す量はこのくらいの量になります。



このくらいの内容が1分間の間に音として飛んでくるのです。そうすると、後ろから訳していては、物理的にそのスピードに間に合うわけが無いのです。もし、私たちに、同時通訳の技術があれば別ですが、同時通訳の技術は英語力のかなりある人が、血のにじむような特訓をして身につける特殊技術ですから、素人の私たちがやろうとしてもできません。




結局、英語の文章を日本語に訳して理解していては、目標である映画の英語には「一生ついていくことができない」と言わざるを得ません。
学校英語でやってきた「日本語による英文解釈」は単に時間の無駄であるばかりか、私たちを「英語音痴」にしている元凶なのです


また、訳してしまうことにより、もともと英語が持っている本来の意味を壊してしまうことがあります。根本的に英語と日本語は文化的な背景も、歴史的な背景も全く違うので、それを、パズルのように頭の中で日本語に「解釈」して理解をすると、当然フィルターを通している分意味が変わってきてしまうことがあるのです。



例えば、「Stop playing games」という表現を見たときに、日本語にして、「ゲームをするのをやめなさい」と訳してしまうと、本来持っている英語の意味を表さなくなってしまいます。「game」の持っている意味の一つに、「a trick or secret plan」と意味があり、英語本来の意味では、「駆け引きはやめよう」とか、「ずるい」「正直に言って」など、もちろん文脈によっても意味は変わりますが、「ゲームをするのをやめなさい」といっては、原文の意味が壊れてしまっているのです。


ベストセラーになった「ネイティブスピーカーの〜」シリーズの著者であり、東洋女子短期大学教授の大西泰斗氏は、その著書「英文法をこわす」でこう言っています。


「従来の学校文法では、英語表現の「意味」の記述はほぼ全て、日本語を解して行われている。
それが致命的なのだ。そのためにいくら勉強してもlook, see, watchすら使い分けることのできない学習者が量産されている。」「これらすべてがそれぞれほかにはない独自の存在意義を持っていること、それを示すことができるのは、「訳語」などといった単純なものではない。」「前置詞もまた、日本語訳を通じての学習が絶望的な領域の一つである。(中略)前置詞の持つ広範なニュアンスは日本語訳や用法などの機械的学習ではとてもつかみ取ることができない。この感覚に満ちた世界を取り込むために、訳語は不十分なばかりか、有害ですらある。」


 
つまり、従来の学校英語で学ぶ、文法知識からの日本語訳は、本来英語の持っている意味を壊し、捻じ曲げてしまう恐れがあるのです。




「英語を日本語に訳さずに理解すること」ができれば、速い速度で英語を理解していくことができ、正しいニュアンスで英語を理解することができます。つまり、
「英語を訳さずに理解する頭」=「英語で考える頭」が、本物の英語力をつけていく大前提となるのです。


「英語で考える頭」を使って英語学習をすると、いちいち英語を日本語に訳しながら学習しているときとは、学習にかける時間が全く違ってきます。


英語力をつけるためには、たくさんの英語を読み、聴き、覚える(もちろん、話す、書くも必要です)ということが欠かせませんが、そのときに「訳して英語を解釈する頭」と、「英語を訳さずに理解する頭」とでは、その
スピードの差は10倍以上にもなる場合があります


例えば、英語を訳しながら読んでいたら5分かかる文章が、訳さずに英語のまま理解できたら、30秒で読めるということはざらにあります。その場合、同じ5分間で読んだ英文の量は1:10となり、「学校英語の頭」のA君と、「英語で考える頭」のB君では、同じ時間で読む、または処理できる英文の量が10倍も変わってしまいます。


見方を変えると、ある程度の英語力をつけるために必要な学習時間を考えたときに、B君はA君の10分の1の時間で身につけることができるということです(物事はそう単純ではありませんが、違いを表すとそれぐらい違うということです)。


英語学習においては、様々なメソッドが現れては消えていきますが、ほとんどの場合うまくいかないのは、
この頭の切り替えがうまくいっていないからです。韓国・日本で何十万部も売れ、ベストセラーになった「英語は絶対勉強するな」でも、ステップ5(最終ステップ)まできちんと終了した方が読者の何%いるかは定かではないくらい少ない数のようです。


このような良い方法(私は、プラスアルファが必要だと思いますが、上記の本で紹介されているやり方は、正しく行うと大変効果があります)にもかかわらず、多くの方が途中で投げ出してしまうのは、この従来の「学校英語の頭」の切り替えをきちんと行っていない、ということが一つの大きな原因です。




頭をコンピューターに例えると、古いOS(コンピューター)に新しいソフトウェアをインストールするようなものです。古いOS(学校英語頭)にいくら最新のソフト・教材(メソッド)を入れようとしても、フリーズしてしまうのです。


ですから、まずはコンピューター(脳)に入っている古いOS(学校英語の頭)を新しいOS(英語で考える頭)にしてから、様々なデータやソフト(正しい英語)を入れていかないといけないのです。


【英語を訳さずに理解する頭】の必要性がお分かりいただけたでしょうか?


「英語を英語のまま理解するなんて私にできるわけがない。」


なんて言わないでくださいね。あなたにも確実にできるようになることは、私が保証しましょう。



次のコラムでは、あなたの頭の中に「英語で考える頭」を作ることができるという理由を説明していきます。きっと、英語学習に希望の光が差すことでしょう。




コラム1   コラム3




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